今年最後の一日となりました。

今年一年を振り返って思ったことを綴ってみたいと思います。

今年のコロナ感染者拡大により、日本では老朽化していた何か床を支えていたものが総じて崩れてしまった感が瀰漫しているよう思います。特にコロナ禍で夫婦や親子が一緒に命を絶つニュースが相次ぐ事態は痛ましいものがあります。つい最近の2019年には10代前半の自殺、100年ぶりの高水準を記録し、文部科学省は新通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」において学校復帰が前提の文言を消しています。メンタルヘルスの観点からスクールカウンセラーなどという職業が登場しましたが、結果真逆の方向へ向かっていってしまったのは、なんとも看板倒れを拭えないように思います。

1991年 臨床心理技術者の国家資格化を巡り激論が交わされ、日本臨床心理学会と日本社会臨床学会の分裂を生んだ事態は何であったのかをもう一度再考してみる必要があるかもしれません。とてもバランスが求められる職業であることは言うに及ばず、一方で薬漬け精神医療の問題点も浮上しています。

10月頃twitterでも盛り上がっていた、うつ病の原因となる物質を作るウイルスの遺伝子を発見というニュースは、認識を新たにし新薬を期待するものとも受け取れる一方で、再び人間管理の技術として管理機構なかで利用されていくだろうということにも注視する必要があるように思います。

※ニュース記事が削除されているのか、youtube動画しか見当たらなかったので載せておきます。

また、コロナ禍により閉塞感がより強まり、2014年トマ・ピケティ 『21世紀の資本』 以降、格差というキーワードを頻繁に耳にするようになりました。どう足掻いても変えられない現状やあきらめと無力感、吹っ切れたような傍若無人、強力な”人生逃げ切り”思考の蔓延は焦眉の急に感じます。

動画『思想をRethinkせよ』では、閉塞感の根底に蔓延る”システムにテイムされている”という表現は言い得て妙であると思います。

『思想をRethinkせよ』

『文化・アートをRethinkせよ』

今のyoutubeを覗いてみると、成功を謳う実例・助言・指導に関する動画も増え続け、日課を公開するルーティーン動画まで登場しています。ここでも幻覚的な合理的主体を演じさせようとするテイムの手は強力に絡み付いてきます。大げさにいえば考えることからの脱却と引き換えに、キャリアに必要な評価可能なスキルというものを選択せざるを得ない背景が迫っているのでしょう。時間をかけて悩み、問題に向き合い、関係の中で行動し答えを探していく身体化などというものは、理解不能で不要とする社会が根底にあるともいえます。そういったことは時間が許さなかったり、専門家が肩代わりしてくれるようになってきています。しかし、様々な選択に追われる現代社会においては、一部の肩代わりを用意するものの、問題の所在を不確かにする”自己責任”という残酷な側面も残されているため、己の意思決定の「軸」の重要性はさらに増しているように思います。

一方で、経済の側面では、世界のコロナ対策において1300兆円近い財政支出や金融支援が行われ株高が起こっています。日経平均は30年ぶりの高値を記録2010年から日銀によるETF買入れが始まって以来、201719年ごろには出口戦略についての議論が起こっていましたが、当分先送りになることでしょう。

何れ来るであろう金利上昇は、過去の通貨危機やデリバティブ事故、バーナンキ・ショックにみられる事態が再び引き起こされると考えるのは想像に難しくないように思います。

リーマンショック後の議論が過り、ふとケインズvsハイエクの昔の動画を思い出しました()

まだあったので貼っておきますね。

本日 東京都の新規感染1337人 全国では4500人越えと急拡大しております。私自身も帰省を控え自粛の正月を迎える予定です。最後に新型コロナウイルス感染症対応医療従事者の方々に感謝の言葉で終わりたいと思います。

先行きが見えない私たちにファイト!!!

20201231日 哲学堂書店 浦山幹生

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