数学者フッサールを哲学者に変えた数学論上の問題を現象学発生の問題背景として取り出し、フッサールが最終的に現象学という新しい哲学を創始するに至る過程を辿り、その現象学的方法論によりいかなる数学論が得られるかを提示する。未公刊の草稿やノートなども精査し、数学的対象の直観的把握を巡る問題から、後期フッサールを含めた「フッサール数学論」を解明し、現象学・数学論に新たな展望を示す。(引用)
第一部 ヴァイアーシュトラス・プログラムからの課題:フッサール現象学創設前史
序章 「学問からの真正な要求」による哲学への転向
第一章 解析学の算術化の運動(ヴァイアーシュトラス・プログラム)
第二章 なぜ「抽象」でなければならないのか:カントル、フレーゲ、フッサール
第三章 十九世紀数学における「存在論的革命」と現実的無限
第二部 フッサールの現象学創設の過程
序章 ヴァイアーシュトラスからの課題に答えるための道
第四章 出発点としての『算術の哲学』
第五章 『算術の哲学』直後の展開
第六章 抽象とは何か:『論理学研究』における現象学的枠組みの発生
第七章 現象学的対象観の完成
第八章 ヴァイアーシュトラスへの解答:数学的対象の認識論
第三部 数学の現象学の展開
序章 フッサール数学論の展開
第九章 公理的手法の受容と「多様体」概念の発生
第十章 対象の「構成」と間主観性:発生的現象学の道具立ての導入
第十一章 ヒルベルトへの解答とフッサール的数学世界
第十二章 実数の構成と排中律の問題
第十三章 技術から生まれた数学:生活世界からの数学的対象の発生
終章 フッサール数学論の位置づけと意義
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