ヤスパース 暗黙の倫理学

〈実存倫理〉から〈理性倫理〉へ
中山剛史 著
晃洋書房
2019年2月23日 発売

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ヤスパース哲学は「倫理学」といえるのか。「倫理学」からは一歩距離を置いていたヤスパース哲学を、実存的な〈訴えかけの倫理〉として浮き彫りにすることにより、そのアクチュアリティーを問い直す試み。ヤスパース倫理思想の新たな相貌に光を当てる。(引用)

目次
はじめに
序論
1. 本書の目的
2. 本書の概要とその位置づけ

第1章 「倫理学」としてのヤスパース哲学
1.ヤスパース哲学は「倫理学」か
(1)ヤスパース哲学における「倫理学」の不在と遍在
(2)「倫理学」という言葉の二義性
(3)「暗黙の倫理学」としてのヤスパース哲学
2.ヤスパースの「倫理学」理解――『世界観の心理学』から『哲学』まで
(1)『世界観の心理学』の場合
(2)「倫理学」についての初期の遺稿
(3)主著『哲学』における「倫理学」の用法
3.「哲学的倫理学」の可能性とその行方
(1)「哲学的倫理学」とは何か
(2)自己存在の実存的自覚と実存的現実の開明
(3)「哲学的倫理学」の行方
4.総括――ヤスパースの「暗黙の倫理学」

第2章 〈実存倫理〉のメルクマール
1.〈実存倫理〉の成立とその位置づけ
(1)〈実存倫理〉という解釈をめぐって
(2)ヤスパースの〈実存倫理〉への道――キルケゴールとニーチェ
(3)ヤスパースにおける「実存」概念の成立
2.「自由」への訴えかけの倫理
(1)自由――ヤスパースの〈実存倫理〉の根本意図
(2)根源的な被贈性にもとづく「実存的自由」
3.実存の無制約性の倫理
(1)実存の「無制約性」とは何か
(2)「限界状況」に面しての無制約性の覚醒
4.実存の歴史性と歴史的一回性
(1)普遍妥当的真理と歴史的真理
(2)「歴史的規定性」の限界状況――〈狭さ〉から〈深さ〉への転換
(3)実存の歴史性の三つの契機
5.「交わり」の倫理
(1)限界状況としての交わり――愛しながらの闘い
(2)「交わり」における実存の倫理
6.総括――実存の「歴史的無制約性」の倫理

第3章 〈実存倫理〉と〈普遍倫理〉の両極的弁証法
1.ヤスパースのカント倫理学解釈
(1)カントの〈普遍倫理〉とヤスパースの〈実存倫理〉
(2)『世界観の心理学』における「普遍妥当性」の両義性
(3)〈格率の普遍化可能性〉の問題
(4)ヤスパースからみたカント倫理学の限界点
2.『実存開明』における「法則」と「実存」の緊張関係
(1)「法則としての自由」と「実存的自由」
(2)法則と実存との一致――法則のパトス
(3)無制約性の解釈形式としての「法則」
3.客観的当為と実存的当為の両極的弁証法
(1)『実存開明』における「当為」の概念規定
(2)客観的当為の実存的なわがもの化
(3)客観的当為の実存的突破――「例外者」の倫理
4.総括――〈普遍倫理〉から〈実存倫理〉への実存倫理的転回
(1)法則の普遍妥当性から〈歴史的一回性における永遠性〉へ
(2)〈法則倫理〉から〈交わりの倫理〉へ

第4章 〈実存倫理〉から〈理性倫理〉へ
1.〈実存倫理〉の陥穽と「理性」の必要性
(1)実存の無制約性と「狂信的な真理のパトス」
(2)「交わり」という契機
(3)「理性」という契機
2.後期ヤスパースにおける「理性」の根本特徴
(1)ドグマや固定化を突き破る「限りない開放性」
(2)あらゆる根源と真理をあらわにする開示化の運動
(3)あらゆる包括者の諸様態を結びつける「紐帯」
(4)「普汎的な共生」を希求する「全面的な交わりへの意志」
(5)総括――突破と結合を希求する開かれた根本態度
3.〈実存倫理〉と〈理性倫理〉の関係――相即性と両極性
(1)〈理性倫理〉という解釈の妥当性
(2)「実存」と「理性」の相即性と両極性
(3)「実存的交わり」と「理性的交わり」の関係
4.〈実存倫理〉から〈理性倫理〉への展開
(1)「善悪」論文における〈理性倫理〉への注目
(2)『反理性』および政治論における〈理性倫理〉への移行
(3)「理性」のモチーフの出現の必然性
5.〈理性倫理〉への転換としての「回心」
(1)『反理性』における「理性」への実存的決意――「誠実性」のエートスへの転換
(2)〈実存倫理〉と〈理性倫理〉との連結点としての「回心」のモチーフ
6. 総括――〈実存倫理〉から〈理性倫理〉へ

第5章  補論――包括者論と哲学的倫理学
1.包括者論の根本意図――その倫理的・実践的意義
(1)「包括者」の思想と「哲学的根本操作」
(2)「一なる包括者」と「包括者の諸様態」
(3)「包括者の諸様態」論の意図――「神が語りうる空間」を確保する
(4)「存在意識の変革」としての包括者論――〈広さ〉と〈深さ〉への変革
2.包括者論における真理と倫理の多次元性
(1)「包括者の諸様態」における真理の諸様態
(2)「包括者の諸様態」における倫理の諸様態
(3)「包括者の諸様態」における〈実存倫理〉と〈理性倫理〉の位置づけ
3.総括――包括的な「哲学的倫理学」の再構築の可能性

結論

あとがき
参考文献

カントの「悪」論

中島 義道 著
2018年9月12日 発売中
講談社学術文庫

カントの「悪」論

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カント倫理学の中で「悪」はどのように扱われているのだろうか。カント倫理学にはアディアフォラ(道徳的に善くも悪くもない領域)が開かれていない。その倫理学に一貫しているのは徹底した「誠実性の原理」である。人間における快や幸福追求の普遍性と、その中心に「自己愛」があることを認めながら、そうした「幸福の原理」を従わせ、理性が道徳的善さの条件として命ずる「誠実性」とは何か。また、人間が悪へと向かう性癖と、根本悪、道徳的善さに至る前提としての「自由」とは。絶対的に普遍的な倫理学を確立しようと努力を惜しまなかったカントが洞察した善と悪の深層構造を探る。(引用)

第一章 自然本性としての自己愛
第二章 道徳法則と「誠実性の原理」
第三章 自由による因果性
第四章 悪への自由・悪からの自由

倫理学の基礎

加藤尚武著作集 第6巻
加藤 尚武 著
2018年5月23日 発売中
未来社

加藤尚武著作集 第6巻

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第4回配本の第6巻。この巻には現代を代表する哲学者による倫理学一般にかんする基本的文献を集めている。1997年に刊行されベストセラーになった『現代倫理学入門』(講談社学術文庫)と1996年刊の『倫理学で歴史を読む』を中心に、「中央公論」に連載された「倫理学講義」をはじめとする単行本未収録論文7篇を収録する。自然にたいする人間の責任を根源的に問い、思想を生きるとはどういうことかを厳しく問いかける。

・単行本未収録論文
・ゆるやかに触れあう異相――倫理学講義
・環境問題に対処する政治的主体の形成
・データの摩耗度と未来文化の設計
・自然の歴史性から見た設計主義の限界
・核廃棄物の時間と国家の時間
・人間と人間でない生物の関係
・持続可能な未来と宗教

著者解題