啓発された自己愛

啓発された自己愛

啓蒙主義とバルベラックの道徳思想
門 亜樹子 著
京都大学学術出版会
2019年2月28日 発売

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18世紀啓蒙時代――グロティウス、プーフェンドルフの著作の仏訳によって後世に名を残した思想家ジャン・バルベラック(Jean Barbeyrac, 1674―1744)。彼はただ思想を媒介しただけではない。教会の「抑圧されたキリスト教的人間像」に真っ向から対峙し、人間理性の自由と自己の肯定を謳ったその独自の思想は、プーフェンドルフの著書に付した長い序文『道徳哲学史』に見られ、後世のスコットランド学派につながる。紹介者としての一面のみで捉えられこれまで表舞台に現れてこなかった彼の思想を、キリスト教思想の観点から浮き彫りにする未知の試み。(引用)

序章 キリスト教的人間像の変遷と道徳哲学
Ⅰ バルベラックとその時代――自然法学とスコットランド啓蒙
Ⅱ バルベラックはどう読まれてきたか
Ⅲ 本書の視点
1 啓蒙主義と「啓発された自己愛」
2 ティロットスンからアバディーン啓蒙へ――道徳哲学と「明証性の理論」
3 哲学史 ――コモンセンス哲学のフランスへの伝播

第1章 バルベラック『道徳哲学史』と自然法学
Ⅰ はじめに ――スコットランド啓蒙思想とバルベラック
Ⅱ バルベラックと『道徳哲学史
1 バルベラックの生涯と著作
2 『道徳哲学史』の紹介
Ⅲ 『道徳哲学史』における教父批判――教会史および哲学史との比較
1 『道徳哲学史』と教会史
2 『道徳哲学史』と哲学史
3 『道徳哲学史』と『自然法史』
4 聖職者批判と福音道徳
(1) 聖職者批判
(2) 福音道徳と三義務論
Ⅳ 『道徳哲学史』と『娯楽論』
Ⅴ おわりに

第2章 バルベラック『娯楽論』研究序説――福音道徳と理性
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「善悪無記の事物」としての娯楽
1 バルベラックの娯楽観
2 労働と娯楽
3 使用と誤用の区別
4 聖書における娯楽
Ⅲ 福音道徳と理性
Ⅳ 節制・正義・信仰心の義務
Ⅴ 節制と欲望
Ⅵ 自己評価と「キリスト教の謙遜」
Ⅶ 自己評価論とキリスト教的人間像
1 ロックにおける「世論ないし世評の法」
2 ニコルとバルベラックの自己評価論
Ⅷ おわりに――「真のキリスト教徒」と『娯楽論』

第3章 バルベラックの「啓発された自己愛」
Ⅰ はじめに
Ⅱ プーフェンドルフの自然状態論
1 ホッブズへの反論
2 スピノザへの反論
3 自然状態における「正しい理性」
Ⅲ 「正しい理性」と「啓発された自己愛」
1 自然法と「正しい理性」
2 社交性と「啓発された自己愛」
Ⅳ 「自己への義務」と「啓発された自己愛」
Ⅴ おわりに ――バルベラックとニコルの自己愛概念

第4章 ティロットスンのキリスト教的人間像(感覚・理性・信仰)――バルベラックの思想との関連性をめぐって
Ⅰ はじめに
Ⅱ バルベラックのキリスト教的人間像
1 洗練可能な人間本性
2 理性への信頼――懐疑論批判
Ⅲ ティロットスンのキリスト教的人間像――感覚・理性・信仰
1 神からの賜物としての感覚と理性
2 感覚と信仰
(1) 感覚の確実性――実体変化批判をめぐって
(2) 実体変化批判の反響
(3) ティロットスンの信仰概念
(4) 聖書における信仰と感覚
3 理性と信仰
(1) 理性の光と信仰の光の一致
(2) 合理的な宗教と教父への評価
4 感覚と理性――ティロットスンとケンブリッジ・プラトニスト
Ⅳ おわりに

第5章 「直観」の哲学史――「道徳科学」と「精神哲学」
Ⅰ はじめに
Ⅱ ビーティとキャンブルの明証論――直観と常識
1 ビーティの道徳哲学体系
2 ビーティの明証論
3 キャンブルの明証論
4 ビーティとキャンブルの明証論の比較
Ⅲ ヒューム批判と直観的原理――キャンブル,ビーティ,リードを中心に
1 ヒュームの奇跡論への批判 ――証言と経験
2 直観的原理と「信じやすさ」
3 ビーティの懐疑論批判
4 リードの観念理論批判
Ⅳ プレヴォとドゥーガルド・ステュアートのカント解釈
1 プレヴォの経歴と著作活動
2 プレヴォの『近代哲学三学派』――カント哲学の紹介
(1) スコットランド学派
(2) フランス学派
(3) ドイツ学派
3 ドゥーガルド・ステュアートのカント解釈――カドワースとの類似性の指摘
Ⅴ おわりに

終章 スコットランド哲学のフランスへの伝播
――ジェランド『哲学体系比較史』をめぐって

付録1 バルベラックの著作目録
付録2 ブッデウス『自然法史』(ジョンスン版)
付録3 ティロットスン著作集と仏訳版における説教の収録順
付録4 ジョゼフ=マリ・ドゥ・ジェランド『哲学体系比較史――人知原理との関連性』

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